3人の社長座談会

ケアネットグループの総力を活かして
日本の社会課題「ドラッグ・ラグ/ロス」に挑む。
── 医療従事者向けの情報を集約・提供し続けてきたケアネット。近年では、社会課題としても取り上げられる「ドラッグ・ラグ/ロス」の解決に向けて、日本に導入が難しいとされている新薬の種(=シーズ)の発見、そして国内での製薬・販売を行う新たなビジネスモデルをスタートしました。今回は新たな取り組みのキーパーソンとなるケアネットグループの3名の社長をお招きし、新事業を始めるに至った経緯や、これからの医療への想いと展望を聞きました。
株式会社ケアネット
代表取締役社長CEO・COO
藤井 勝博
Katsuhiro Fujii
外資系製薬企業を経て、ケアネットの代表取締役社長に就任。医療課題解決に向けたさまざまな取り組みに力を注ぐ。

クレイス株式会社
代表取締役・薬剤師
川﨑 臣人
Naoto Kawasaki
長年、臨床開発の現場に関わる。
「自社の企業価値を高めたい」と感じていたところ、藤井社長の提案に魅力を感じてケアネットグループへの参画を決意する。

株式会社ケアネットパートナーズ
代表取締役社長CEO
脇丸 俊郎
Toshiro Wakimaru
コンサルティング会社からキャリアをスタート。その後、国内・海外の医療系スタートアップ企業を経験したのち、ケアネットパートナーズの社長に就任する。

グループ会社との連携で、医療課題の解決へ
#01ケアネットグループが目指す「ドラッグ・ラグ/ロス」解決のプロセスとは?
藤井社長
弊社の取り組みを語る上で欠かすことができないのが「ドラッグ・ロス」。これは、海外ではすでに使用されている医薬品が日本に導入されないという問題です。欧米で新しく承認される薬剤のうち、国内でいまだ未承認の医薬品は約70%もあります。そのため、日本の患者さんだけが治療を受けることができないという状況が生まれています。これらを解決する鍵が、海外で研究が進められている新薬の種(=シーズ)を発掘し、日本で販売させる役割を担う「株式会社LinDo(リンドウ)」です。

川﨑社長
藤井社長から「LinDo」と「クレイス」、「ケアネットパートナーズ」との連携構想を初めて聞いた時は、まったく新しい形で臨床への参入を考えておられるんだなと正直驚きました。「LinDo」の一番の強みは、海外の製薬企業が開発した有望な新薬のシーズを発見すること。そのシーズを活かして国内での新薬の開発、臨床試験を「クレイス」が、販売を「ケアネット」によるデジタルプロモーションと、「ケアネットパートナーズ」によるMR派遣で担うことでグループ内で完結させるという取り組みは、ドラッグ・ロスを根本から解消する今までにないものでした。

藤井社長
もしも自分の家族が病気になり、日本で治療が受けられないとなったら。やっぱり海外に⾏ってでも治療させてあげたいなと思いますよね。疾患を抱えている⽅にとってはこれは本当に深刻な問題です。ただ、海外で治療をするとなるとお⾦もリスクも⾼すぎる。だからこそ⽇本で処方できる医薬品を揃えて、国内の病院で治療ができるようにしたいという想いがありました。シーズの発⾒だけならば、他の企業にでも似たような取り組みをしているところはあります。ではなぜ新薬の開発に踏み込まないのかというと、その後の臨床試験、製薬・販売に莫⼤な費⽤がかかってしまうからなんです。

脇丸社長
医薬品を世の中に届けるためには、臨床試験を専門に担う人材や、医薬品情報を正確に発信する営業のスペシャリストが不可欠です。
企業にとって、そうした人材の採用や育成は重要な取り組みではありますが、その一方で、莫大な時間と人件費がかかるという現実があります。特に多くの社員を抱える大手製薬企業にとっては、人材育成にかかるコストが大きいうえ、利用する患者数が限られる医薬品の開発では利益率が低く、リスクも大きくなりがちです。どの企業にとっても「費用対効果」は避けて通れない課題であり、「本当は作りたいけれど、採算が合わず開発に踏み切れない」といった状況も少なくありません。

川﨑社長
その点、ケアネットグループには新薬開発以外のビジネスもありますから。人材育成に重点を置くことができるところも重要なポイントだと思います。大手製薬メーカーが作れない薬を、ケアネットグループでは作ることができる。その一番の理由となっているのは、ケアネットグループ会社間の連携の強さですよね。「LinDo」が見つけてきたシーズをもとに、新薬を開発。その後に必要な臨床試験を担うことができるのが「クレイス」です。そして臨床試験を無事通過し、いざ販売となった際には「ケアネットパートナーズ」に所属するMRが新薬の情報を広く発信していきます。ケアネットには長年蓄積された医師情報が集約されていますから、多忙な医師との繋がりもあります。その繋がりを介して、新薬の情報を本当に必要とする医師に向けて発信できるというのは、とても大きな強みだと思います。
グループ会社連携と新薬の開発、臨床試験、販売までの流れ


脇丸社長
今までのビジネスの枠にとらわれない、新しい形の事業ですよね。新薬の開発から普及までを一気通貫で支援する、まさにこれからの時代に合ったビジネスモデルだと感じています。藤井社長から最初にお話を伺ったとき、「ここなら、これまで自分が積み重ねてきた経験がきっと活かせる」と強く思ったのを、今でもよく覚えています。私にとっては、ここでの仕事を人生の集大成として取り組みたいという思いでケアネットを選びました。それくらい魅力のある会社ですし、こうした挑戦ができる場所は、他にはなかなかないと思います。

自社開発した医薬品を、
自分たちの手で患者さんのもとへ

脇丸社長
つい先日、会社の全MRを集めたオールスタッフMTGがあったのですが、やっぱりみなさん「『LinDo』の話が聞きたい」と口を揃えていて。それだけ注目度も高いですし、医療に関わる人たちから、本当に求められていることなんだなと実感しています。


川﨑社長
臨床開発だけを担っていたり、製薬・販売機能を持っているという会社は他にもありますが、シーズの発見、臨床試験、製薬・販売までを一貫して行える業務形態を持った会社は、今の日本にはないと思うんですね。我々が面白いなと思ったのはまさにそこで。ケアネットはグループ間の連携で新薬の開発を行おうとしています。プロセスの一連の流れを知っているからこそ、それぞれのプロジェクトを最小限の人数で進行できますし、コストの削減もできる。さらには医師の登録情報を活用して、安定した営業体制も確立できます。そうやって最小限の人的投資で、最大限の収益が得られれば、これはきっと大きなビジネスモデルに育っていくはずです。

脇丸社長
医療情報を先駆けて発信し続けていただけありますよね。

川﨑社長
なんといっても自社グループ内で薬を開発するためのシーズがありますから。就職希望者にすごく刺さっているのは、そこなんですよね。 他社のCROと比べて「医薬品を自社開発できますよ」っていうところは、すごい強みだと思います。


藤井社長
新しいことを生み出すことは、とても大変なこと。しかし、小児系の大手病院と共同研究に取り組んできた過去もあるので、会社としての経験や知恵は十分にあると思います。社員に感じていただけるやりがいも大きいはずです。こうした新しい取り組みを、グループ全体で力を合わせて進めたいですね。患者さんに必要な新薬を届けると同時に、社員の皆さんにも幸せになってもらいたい。現場がスピーディーかつスムーズに進めやすくしていくこと、働きやすくしていくことが、僕の役割かなと思っています。

脇丸社長
現在のケアネットパートナーズの社員に関していえば、派遣先だけではなく、自社製品を自分たちで販売する経験ができます。ゆくゆくは「LinDo」を発端に、⽀店⻑や事業部⻑を⽬指せるといった、新しいキャリアの可能性も⾒えてくる。そこはすごく⾯⽩いのではないかと感じていますね。今後は、営業にマーケのエッセンスを加えた新事業も視野に⼊れています。「完全受託型⾃社製品」「プロジェクト派遣」「デジタル・リモートマーケター」といった事業展開も視野に、幅広く展開できればと思っています。

藤井社長
そう言った新しい事業をどんどん実現できる背景には、アイデア発案から実行に移すまでのスピードの速さも関係しているのかなと。我々としての直近の目標は「LinDo」から新しい医薬品を生み出すことですよね。

川﨑社長
そうですね。「LinDo」を介した販売はまだなのですが、新薬の承認に向けて動いているものがいくつかあって。最終的にその中で承認を取れたものが、脇丸社長のとこから販売されていく…ということになってくるんだと思います。

脇丸社長
ケアネットというパネルを有効活⽤すれば、効率的にマーケティングができると思いますし、何より「医師プラットフォームを持っている」ことが、ここで活きてきますよね。
新しい事業領域への進出を目指して
#03ケアネットが目指す展望と、大きく広がる将来の可能性について
藤井社長
これまでのケアネットは「デジタルで製薬のマーケティング支援をする」というのがメイン事業でした。しかし今では大病院のコンサルティングを手がける会社や、大手病院の在庫管理システムを作成して販売する会社など、その事業領域も大きく広がり続けています。製薬業界にとどまらないフィールドを舞台にしながら、未来の医療業界を支えられる会社として成長していきたい。それが私たちの一番の目標です。2026年に会社が30周年を迎えることもあり、これからの行く末を改めて考えるいい機会でもあります。「新しいチャレンジで業界を変えていく」「この業界で新しいものを作っていく」そんな考えをもった方々と、ぜひ一緒に仕事がしたいですね。たとえ大きな壁にぶつかって、一人ではもうどうにもならない、ということが起きたとしても、みんなで束になって協力し合えば大概のことはなんとかなります。とても頼もしいメンバーが集まっている会社ですから、そこは安心していただければと思います。

脇丸社長
そういったチームワークの強さに加えて、働き方の選択肢の広さもケアネットの大きな魅力の一つですよね。ひと昔前だと「製薬企業は単身赴任が当たり前」と言われていたこともありましたから。

藤井社長
定年後に初めて家族と住んだ…なんて方もいたくらいですからね。仕事に身を費やせることはもちろん素敵なこと。だけどそれを経験してきた身からすると、やはり生活や家庭を大切にしながら、安心して働ける環境は絶対に必要だろうと。


脇丸社長
そういった意味では、私たちの会社は地方案件にも強みがあります。
「地元で家庭を大切にしながら、安心して働きたい」という方にも、自信を持っておすすめできる環境です。また、育児中の方へのサポート体制も充実しており、ライフステージに応じた柔軟な働き方が可能です。もちろん、新しい領域、新規事業に挑戦したい方や、これからMRとしてキャリアを築いていきたい方も大歓迎です。私たちと一緒に、医療業界を支える存在として成長していきましょう。

川﨑社長
例えば、ご縁あって入社いただいた後に「開発の道に進んで製品の行く末を見てみたい」となれば、ケアネットのメディカルサイエンスに行ってみる、あるいはCSOに行ってみる、といった選択肢もあるかもしれない。これから会社がもっと成長していけば、そんな風にグループ内で出向していただいて最終的に転籍いただく…といった自由な働き方もあると思うんですよね。異業種が集まって新たな取り組みを行なっている会社ですから、積極性さえあれば、本当にいい経験ができる環境かなと。今後「LinDo」のような取り組みを進めていけば「医薬品の製薬・販売も事業の柱の1つ」と言える規模の会社にまでなれるはずです。


藤井社長
…あと、うちの特徴として社長っぽい人が誰もいないよね。
一同:(笑)

藤井社長
やっぱりそういう環境だと意見も言いやすいですし、社員自身が成長するにはとても良い環境になっているんじゃないかなと、手前味噌ながら思っています。将来はこれからを担う若い人たちに託すとして…この数年で会社が成長することはもちろん、みんなが自由に働ける環境を作ることが、私たちの一番大きな仕事かなと思いますね。新しい取り組みをする以上、生みの苦しみはついてまわりますが、将来自分が「やったぜ」と言えるものが創れる、そんな楽しみがある会社だと思います。ぜひ一緒にチャレンジングな挑戦をしていただければとても嬉しいです。
