ケアネットのビジネスモデル

CCOがわかりやすく解説!

ケアネットのビジネスモデル

佐藤 寿美
Hiromi Sato

執行役員CCO
(Chief Compliance Officer)
コーポレート本部 本部長/
コーポレートHR部 部長

人事・法務・総務など、さまざまな業務を兼任。面接にも関わるなど、ケアネットには欠かせない役割を担当中。趣味は、日常に溢れるさまざまなおかしみを発見すること。

#01日本の現役医師の約8割が登録している医療・医学情報サイト
「CareNet.com」

佐藤CCO

今日は、私が所属するケアネットのビジネスモデルについて解説したいと思います。

なんといっても最初に知ってほしいのは、社名と同じ”ケアネット”を冠した医療・医学情報サイト「CareNet.com(ケアネット・ドットコム)」。医師・薬剤師・看護師といった医療従事者のみが登録・閲覧可能で、2025年6月現在48万人以上の会員数に達しています。48万人のうち、医師会員は24万人以上にのぼります。

── 24万人以上ということは、東京ドーム(約5万5千人収容)を4回満員にしてもまだ足りないほどの人数ですね…!

医療・医学情報サイト「CareNet.com」

佐藤CCO

日本の現役医師の約8割が利用している計算となります。

「CareNet.com」に掲載しているのは、国内外の最新の医療ニュースをはじめ、世界の主要医学誌の日本語解説、各分野のエキスパートドクターによる連載コラムなど、いますぐ現場で役立つコンテンツ。多忙な臨床医が今知りたい情報を提供するため、多様なリソースを活用し、信頼性の高い情報を提供しています。さらに、専門医向けのサイトも充実しており、医師が薦める医療ニュースや論文などをコメント付きで紹介する「Doctors'Picks」(医師限定)、乳がん診療に特化したニュースや手技動画などを提供する「乳がん診療 Front line」、エキスパートによる手術手技動画を配信する「がん@魅せ技」(医師限定)なども公開しています。

── そんなに充実した内容なら、利用料金は高いんですよね???

佐藤CCO

いえいえ。
会員登録した医療従事者は無料で利用できます。

学び領域に特化した動画配信サイト「CareNeTV(ケアネッティービー)」は有料サービスとなっており、収益を得ています。医師や医療関係者向けのオンデマンド臨床医学チャンネルとして、プライマリケアから専門分野まで、幅広いジャンルの動画コンテンツが視聴できるサービスです。臨床のスキルアップや専門医試験対策、プレゼン、英語、統計など、700人以上の講師陣による3,000番組以上の動画コンテンツを配信しています。

臨床医学チャンネルCareNeTV

佐藤CCO

番組の企画段階から携わり、出演していただくドクターと議論を重ねながら「今、医師が本当に知りたいこと」「明日の診療に役立つこと」をテーマに番組コンテンツを作成。内容はもちろんのこと、出演していただくドクターの選定の際には、社員が実際に学会や講演会に足を運び、「このドクターの話は分かりやすい!」と感じた方にCareNeTVへの出演を直接依頼するといったこともあります。正しい情報をいち早く届けることを大切にしているからこそ、出演していただく方の肩書や知名度にとらわれるのではなく、観た方が満足できる、そして現場目線で役立つ“生きた情報”を届けられるコンテンツを目指しているのです。

#02製薬会社からの広告収益モデル「医薬品プロモーション」

佐藤CCO

「CareNeTV」も一定の収益ではありますが、ケアネットの一番大きな主力ビジネスとなっているのは「医薬品プロモーション」です。これは、平たく言うと製薬会社が販売する治療薬の情報を、対象の医師に届けるためのサービスで、いわゆる広告収益モデルのビジネス。ケアネットグループの売上の大半を占めています。

── なるほど。ケアネットとしての収益の柱は、こちらなんですね。

佐藤CCO

その通りですね。それでは、医薬品プロモーションの代表的なサービスとして、「MRPlus®」と「Web講演会・Web説明会」を紹介しようと思います。

「MRPlus®」は製薬会社のMR(医薬情報担当者)が医師に直接訪問して自社の医薬品情報を説明する(=ディテーリング活動)を代替するサービスです。CareNet.comを通じて、テキストだけでなく動画やPDF形式で情報を伝え、視聴後にアンケートを取ることで医師の診療方針を確認できるeディテーリングサービスです。

「Web講演会・Web説明会」は、製薬会社や医療機器メーカーが主催する講演会や製品説明会を、CareNet.comを通じて、集客の支援とWeb配信を担当するLive配信プラットフォームサービスです。

── どちらも「CareNet.comを通じて」となっているのが、もしかして重要ですか?

佐藤CCO

いいところに気づいてくれました。 先ほど説明したとおり、CareNet.comには24万人以上の医師会員がいます。この医師会員がいるからこそ、製薬会社にとっては、情報を届けたい医師に適切にアプローチすることができ、医師にとっても、診療に必要な医薬品の情報を得ることが可能になるのです。CareNet.comと医師と製薬会社の関係性をビジネスモデルに図解したものがこちらです。

── なるほど。医師会員がいるからこそのビジネスモデルだということは理解しました。しかし、はじめから24万人が登録してくれないですよね?

佐藤CCO

その通りです。下記が医師会員数の推移なのですが、2009年当時の9万4000名から、15年以上をかけてコツコツと会員数を伸ばすためにコンテンツを作り続けてきました。vol.03では創業当時のコンテンツづくりについても説明していきますね。

医師会員数 240,482名 (2025年6月末時点)

#03インターネットが普及していないときからの教育コンテンツづくりと、様々な広がりをみせるビジネスモデル

佐藤CCO

最後の回はケアネットの過去と未来のお話です。いきなりですが、スカパー!って知っていますか?

── 名前は知っていますが、私はネトフリを契約しているので、スカパー!はちょっとわからないです。

佐藤CCO

そうですよね。インターネットじゃなく、衛星放送ですからね。

ケアネットのルーツは、1998年にスカパー!で日本初の医療専門テレビチャンネル「ケアネットTV・メディカルCh.」を開局したことから始まります。当時はまだインターネットも浸透しておらず、情報を集めることにも時間がかかっていた時代。テレビを通して医療情報を発信することは、斬新な方法だったと思います。

医学教育にフォーカスして、多忙な医師・医療従事者が最新の技術・知識をスピーディに学べる番組を制作してきました。例えば、紙の教材では理解しづらい「CT・MRI検査の詳しい見方」の解説動画です。指導力に優れていて、臨床の第一線で活躍中の先生方を講師として迎えて、実践的でわかりやすい動画を目指していました。

── 20世紀からそのような教育番組を配信していたのはびっくりです!

当時の番組ガイド

佐藤CCO

その後、インターネットの普及に合わせて、2004年にはWebサービスへと進化。「CareNet.com」としてリニューアルしました。テレビからインターネットへと舞台を変えながら、時代の変化に合わせて事業を拡大していきました。

ケアネットが何より大切しているのは、医師や医療従事者からの信頼です。会員数はその結果の一つに過ぎないと考えています。もしも、会員数を上げることのみを目的化するなら、他のアプローチを考えられると思うのです。それでも、誇りを持って教育コンテンツをつくってきたからこそ、医師や医療従事者との信頼関係が築けてきたのでしょう。「ケアネットの情報は信頼できる」とか、「ケアネットのおかげで専門医試験に合格した」とか、研修医時代からの長いお付き合いになっている例もあります。この歴史や深みが、ケアネットの強みなのだと思います。

── ビジネスモデルも理解できましたし、医療を動かす情熱も感じました。ケアネットとして、今後はどのような方向性があるのですか?

佐藤CCO

今後というか、もうすでにやっていることではあるのですが、医師や医療従事者の転職、求職ニーズに応えて、勤務先やポジションの候補をご案内する「キャリア支援事業」や、病院の経営課題解決から院内物流支援までおこなう「経営支援事業」といった医療業界のさまざまな問題を解決していく方向性です。医療従事者との信頼関係を起点として、グループとしてさまざまな事業拡大を図っています。

ケアネット事業マッピング図

── 最後に求職者のみなさんに向けてメッセージをお願いします。

佐藤CCO

ケアネットはもうすぐ30周年を迎えます。もともと医療教育の衛星放送から始まった会社なので、情報を通じて医療に貢献したいという想いがあります。これからも医療人を支えて、パーパスに書いてある通り「医療の未来を良くしていく」という貢献ができたらいいなと私自身考えています。

長年続いてきた医師との信頼関係を大切にしながら、新しい知識とテクノロジーの力で医療従事者を支え、患者さん一人ひとりに最適な治療が届く未来を目指すケアネット。医療従事者の誰もが最新で最良の医療情報にアクセスできる社会のために、情報やIT、マーケティングの力で、医療の未来を変えていく。そんな思いに共感してくれる方と、お会いできるのを楽しみにしております。

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